逢うて心の くもりも晴れて ふたり眺める 蚊帳の月 |
お月さまさえ 泥田の水は 落ちてゆく世の 浮き沈み |
思ひ出すぞへ 去年の今宵 月がよう似た あの月が |
曇りゃわからず 晴ては人目 首尾も宵から 朧月 |
この袖で ぶってやりたい もし届くなら 今宵の二人にゃ じゃまな月 |
人の恋しさ はじめて知って 悲しく見なおす 月のいろ |
月にてらされ あたりをかねて 離ればなれの 二人づれ |
月夜がらすを 夜明と思ひ 主をかへして あと悔む |
つつむ人目の 手拭とって 月に着せたい 頬かむり |
遠く離れて 会いたいときは 月が鏡に なればよい |
花の曇りは 雨にもならで 傘をはなさぬ 朧月 |
春はおぼろに 月かげ淡く 恋にせりふの 要らぬ宵 |
ふりよき君に 情の無いは 冴えゆく月に かゝる村雲 |
水の月 手にはとれぬと 諦めながら 濡れてみたさの恋の欲 |
やつれしゃんした 三ケ月さんは それもそのはず 闇あがり |
野暮な世間へ まだ日は高い 月になる間の 青すだれ |
夢ならさめずに ほしいと願う 首尾を拾った 夜の月 |
宵に横 夜中にまとも 明け方頃にゃ 後ろからさす 窓の月 |
よしや今宵は 曇らば曇れ とても涙で 見る月を |
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