逢いたさを じっとこらえて また明日の夜と
 心だまして 寝るつらさ
 
逢えば笑うて 別れにゃ泣いて
 うわさ聞いては 腹立てる
 
逢へば怨みの 言葉も鈍る
   惚れた因果か この弱さ
 
諦らめましたよどう諦らめた
       諦らめきれぬと諦らめた
 
明けの鐘 ゴンとなるとき 三日月形の櫛が
落ちてた 四畳半
 
明けの鐘 ごんとなる頃
 仲直りしたら 過ぎた時間が 惜くなる
 
朝の湯壷の かがみに映す
  今日から女に なった顔
 
浅い川だと 裾褄からげ
   深くなるほど 帯をとく
  
朝寝 朝酒 朝湯に 入れて
 後はタンスにある保険
 
あたし泣かせる あんたが憎い
  だけど泣くのが 生きがいよ
 
あついあついと 言われた仲も
   三月せぬ間に あきがくる
 
あとのつくほど つねっておくれ
 それをノロケの種にする
 
あの人の どこがいいかと 尋ねる人に
 どこが悪いと 問いかえす
 
油高いと 早ねをしたら
  米が高いに 子が出来た
 
言へば恨の かずかずあれど
  言はぬ心を 察さんせ
 
いくら惚れても 情死はいやよ
  死ねば腰から下がない
 
石の臼ほど 互いにまるく
   添うて離れぬ かたい仲
 
潮来好くなよ 浮気な主に
   惚れたわたしが 身の因果
 
いやになったら なったでよいが
   逢わぬ昔しに してかえせ
 
入れておくれよ かゆくてならぬ
   わたしひとりが蚊帳の外
 
色気 離れた 墨絵でさへも
    濃いと 薄いが あるわいな
いろの恋のと さてやかましい
   人のせぬ事 するじゃなし
 
嬉しい首尾した そのあくる日は
   仕事出しても 手につかぬ
 
逢うたその日の 心になって
    逢わぬこの日も 暮らしたい
 
面白いときゃ お前とふたり
    苦労するときゃ わしひとり
 
岡惚れ三年 本惚れ三月
    想い遂げたは三分間
 
岡惚れしたのは 私が先よ
   手出ししたのは 主が先
 
沖の暗いのに なぜ舟を出す
    わしがお舟で 眠りゃんせ
 
奥様になれる身じゃなし
 わがままくらい 言わせてちょうだい ねえあなた
 
遅い帰りを かれこれ言わぬ
   女房の笑顔の 気味悪さ
 
お名は申さぬ 一座の中に
 命あげたい方がいる
 
帯も出来たし 箪笥も出来た
  そろそろ旦那と別れよか
 
お前正宗 わしゃ錆刀
   お前切れても わしゃ切れぬ
 
お前百まで わしゃ九十九まで
 共に白髪の生えるまで
 
お前に見しょとて 結うたる髪を
  夜中に乱すも またお前
 
重い体を身に 引き受けて
  抜くに抜かれぬ 腕枕
 
思い切られぬ 道理が不思議
   これだけ不実を されながら
 
思い出すよじゃ 惚れよがうすい
  思い出さずに 忘れずに
 
 思ふ程 思ふまいかと 離れて居れば
  愚痴な様だが腹が立つ
 
親も大切 この身も大事
   けれどたれかにゃ かえられぬ
 
およそ世間に せつないものは
  惚れた三字に 義理の二字
 
及ばぬ恋よと 捨ては見たが
  岩に立つ矢も ある習ひ
 
おろすわさびと 恋路の意見
  、きけばきくほど 涙出る
 
顔見りゃ苦労を 忘れるような
 人がありゃこそ、苦労する
 
かけてよいのは 衣桁に小袖
  かけてたもるな うす情
 
火事がなくなりや 半鐘はいらぬ
   とかくやけるは いろの道
 
固く結んだ 手と手の中で
   今度会う日を 書いている
 
片手に剃刀 片手に砥石
   切れても 合はせて下さんせ
 
可愛いお方に 謎かけられて
   解かざぁなるまい しゅすの帯
 
かわいがられて また憎がられ
   可愛いがられた 甲斐がない
 
可愛ゆけりゃこそ 七里もかよへ
   憎くて七里が 通わりょか
 
川と言う字は そりゃ後のこと
   せめて りの字に 寝てみたい
 
気のつかぬように 残してあるとは知らず
 どこで抜いたか しつけ糸
 
君と寝やろか 五千石とろか
  ままよ五千石 君と寝よ
 
去年の今夜は 知らないどうし
  今年の今夜は うちのひと
 
嫌いなお方の 親切よりも
   好きなお方の無理がよい
 
義理や人情が 守れるならば
  、恋は思案の外ぢゃない
 
義理も人情も もうこの頃は
  捨てて逢いたい 欲ばかり
 
切れりゃ 他人に違いはないが
   ひかせたくない はやり風邪
 
口でけなして 心でほめて
  人目忍んで 見る写真
 
愚痴もいうまい りん気もせまい
  人の好く人 持つ苦労
苦労する身は 何いとわねど
   苦労し甲斐の あるように
 
喧嘩して 背中合せも 夜風がしみて
  寒くなつたと 仲直り
 
(こい)という字を分析すれば 糸し糸しと言う心
恋し恋しと 書いてはまるめ
   他に書く字のない 悩み
 
恋の重荷を 車にのせて
   胸で火をたく 陸蒸気
 
恋の淵瀬に 身を投げ島田
   浮も沈も ぬし次第
 
こうしてこうすりゃ こうなるものと
   知りつつこうして こうなった
 
小唄 都々逸なんでも出来て
 お約束だけ出来ぬ人
 
この舟は あなたの乗る舟 あなたの竿は
 あたしがいく時 借りる竿
 
此口でさんざん怨みを 言ふとの謎か
 封じた手紙へ 紅の痕
 
子供を教える 学校でさえも
   先に習わす イロの二字
 
こたつでふざけりゃ 浜辺の遊び
  足で貝掘る こともある
 
今宵 忍ぶなら 宵からお出
 東枕の 窓の下
 
これほど惚れたる 素振りをするに
 あんな悟りの 悪い人
 
こんな亭主にゃ チトあきたけど
  何んせこちらも かなり年
 
咲いたこの恋 ガラスの命
   支え手ひとりじや 割れやすく
 
四国西国 島々までも
   都々逸は 恋路の 橋渡し
 
死ぬほど惚れても 貸すのは嫌じゃ
   色じゃ寒さは しのがれぬ
 
じれったいわね また抜けたのか
 早くはめなよ 坊の足袋
 
白だ黒だと 喧嘩はおよし
   白という字も 墨で書く
 
信州信濃の 新蕎麦よりも
   あたしゃあなたの 側が良い
 
すごい手管に 乗りこなされて
   わたしゃいつでも はだか馬
 
捨てる神ありゃ 助ける神が
   なまじあるゆえ 気がもめる
 
すねてかたよる 布団のはずれ
   惚れたほうから 機嫌とる
 
せがれどこゆく 青筋立てて
   生まれ故郷に 種まきに
 
世間に浮名が 立とうとままよ
   どうせこうした 仲じゃもの
 
添うて苦労は 覚悟だけれど
   添わぬ先から この苦労
 
外に涙は 見せないつもり
   きいたわさびの それよりも
 
大海の 水は呑んでも 鰯は鰯
   泥水呑んでも 鯉は鯉
 
大工頼んで カンナでそっと
    立てた浮名を 削りたい
 
高砂祝って 誓った初夜が
   婆と爺とに なる門出
たったひとこと 言わせておくれ
   後でぶつとも 殺ろすとも
 
玉の輿より 味噌漉し持って
  つとめ嬉しい 共稼ぎ
 
黙ってさせれば ヘソまで濡らす
  いたずら坊やの 水遊び
 
誰の似顔か 羽子板だいて
  髷を気にする 初島田
 
便りあるかと 聞かれる度に
   別れましたと 言うつらさ
 
箪笥の抽出し 背中でをさへ
   出先たゞして 出す羽織
 
ちょっとつまんで 広げて入れて
 白い水出す ぬか袋
 
一寸も はなれまいぞと 思うた仲は
 主も五分なら わしも五分
 
妻と書かれて ゆらいだ心
   遊びでなくなる 今朝の宿
 
ついておいでよ この提灯に
    けして苦労は させやせぬ
 
どうせ互の身は 錆刀
  切るに切られぬ くされ縁
 
十日も逢わねば 死ぬかも知れぬ
   こんなに痩せても まだ三っ日
 
遠く離れて 苦労するよりも
    浮気されても そばがよい
 
とっくに 他人じゃない ふたぁりを
  世間が 他人に させておく
 
名残り惜しさを 口へは出さず
   じっとくわえた 帯の端
 
夏やせと 人に答えてほろりと涙
   捨てられましたと 言えもせず
 
七つ八つから いろはを習い
  はの字忘れて 色ばかり
 
涙出す 癖なおった今じゃ
  ツノ出す癖の山の神
 
涙ならでは 哀れを問じ
   深き思ひの 袖の色
 
女房もちとは 知つてのことよ
   惚れるに 加減の 出来ようか
 
二十五までは 親兄弟に
   後はあなたに やる命
 
ぬしをみめぐり 竹屋のわたし
  逢って心も 隅田川
   
主の来る夜は 宵からしれる
  〆た しごきが そら解ける
 
主と私は 玉子の中よ
  わたしゃ白身で きみを抱く
 
主によう似た やや子を産んで
   川という字に 寝てみたい
 
ねぇあなた もうこんなになっちゃったと
 (びん)かきあげて 忘れちゃいやよと 今のこと  
 
乗せて持ちゃげて 腰動かして
  旦那いきませ 人力車
 
残る移香 枕にそいて
    いとゞ忘れぬ 閨のうち
 
羽織着せかけ 行き先たずね 
  すねて箪笥を せなで閉め
 
馬鹿夫婦 春画を真似て
 手をくじき
 
腹が立ったら おねんねおしな
  寝ればお腹が 横になる
 
腹立ちまぎれに 破いた手紙
   あとでつぎつぎ 読んで泣く
 
ひざまくら させてあたりを 見ながらそっと
水をふくんで 口うつし
 
人がどのように 言おうとままよ
    わたしのめがねで 惚れた人
 
人に話せぬ 苦労の痩を
   そつと忍んで みる鏡
 
緋緬 肩から滑って 覗いた乳房
   にっこり笑って 消す灯かり
 
ひとり笑うて 暮らそうよりも
  二人涙で 暮したい
 
富士の山より 勝った苦労
  もとは一夜の 出来心
 
二人手をとり  静かに乗りな
 行くも行かぬも 棹次第
 
ふみのかけ橋 おとずれ絶えて
 仲を流るる 涙川
 
文は逢へども 我身は逢へず
  文になりたや 一夜でも
 
下手な易者と わたしの恋は
   あわで この世を 過ごしてる
 
惚れさせ上手な あなたのくせに
   諦らめさせるの 下手な方
 
惚れた証拠は お前の癖が
   いつか私の 癖になる
 
惚れたは 私が重々悪い
  可愛と云つたは 主の罪
 
惚れた数から 振られた数を
   引けば女房が 残るだけ
 
惚れて惚れられ なお惚れ増して
   これより惚れよが あるものか
 
惚れて焦れた 甲斐ない今宵
   逢へば下らぬ 事ばかり
 
惚れて通えば 千里も一里
  逢わで帰れば また千里
 
惚れて悪けりや 見せずにおくれ
  主の優しい 気心を
 
巻きタバコからだまかせて 口まで吸わせ
 灰になるまで 主のそば
 
枕出せとは つれない言葉 
  そばにある膝 知りながら
 
まさかそれとも 言い出しかねて
 娘伏し目で 赤い顔
 
待った腹いせ つい言い過ぎて
  胸で詫びさす 憎い人
 
儘にしやんせと 嬉しく解けば
  帯も察して 鼠鳴き
 
みんなあんたに あげちゃいますわ
  だからあんたの 妻にして
 
昔馴染みと つまずく石は
   憎いながらも あとを見る
 
婿の良い所 腰から下よ
   あとはいらない 豚にやれ
 
胸に結んだ 羽織の紐は
    主の顔にゃ 解けやまぬ
 
目から 火の出る 世帯はしても
   火事さえ出さなきゃ 水入らず
 
妾という字を 分析すれば
  家に波風 立つ女
 
もう一度 逢わせて下さい 逢うての上で
  嫌なものなら 切れもする  
 
もうこんなん なっちゃったと 鬢かきあげて
  忘れちゃいやです 今のこと
 
もしもこのまま こがれて死ねば
   こわくないよに 化けて出る
 
夕べしたのが 今朝まで痛い
  二度とするまい 箱枕
 
指もささせぬ 大事な人に
    誰がつけたか 紅のあと
 
横に寝かせて 枕をさせて
   指で楽しむ 琴の糸
 
酔ってほんのり 静かな宿で
   旦那待つ間に する浮気
 
弱虫が たった一言 小っちゃな声で
  捨てちゃいやよと 言えた晩
 
 若くはないわと かくさぬ小じわ
  口説かれ上手で 盛る店
 
わかれわかれの 釣瓶を繋ぎ
 丸く添わせる 井戸の綱
 
吾妻橋とは 吾が妻橋よ
   そばに 渡しがついている
 
わざと残した 着物の襟に
   どこでとったか しつけ糸
 
わざと 欠伸をしてみる つらさ
  悲しい涙を 隠すため
 
わしとおまえは 羽織の紐よ
   固く結んで 胸に置く
 
わたしゃお前に 火事場の纏
  振られながらも、熱くなる
 
わたしゃろうそく しんから燃える
   主はランプで 口ばかり
 
































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































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