雨の降るほど 噂はあれど 
  ただの一度も 濡れはせぬ
 
雨の降る日は 天気が悪い
   悪いはずだよ 雨が降る
 
重くなるとも 持ち手は二人
   かさに降れ降れ 夜の雪
 
お前お立ちか お名残惜しや
   雨の十日も 降ればよい
風の噂は どうやら胸に
   蒔いた覚えの 罪の種
 
風の小舟の ろかいも絶えて
    波にまかせた このからだ
 
くるか 来るかと 待せてをいて
  何処へそれたか 夏の雨
 
凍る硯に 息ふきかけて
    こぼす涙に しめる筆
 
腰が曲がろが ふらふらしよが
   触りゃピンと立つ 笹の雪
 
この雪に よく来たものと 互いに積もる
   思いの深さを 差してみる
  
袖の重さに 忘れた春を
    そっとつつんで 渡る風
 
咲いた花なら 散らねばならぬ
  恨むまいぞえ 小夜嵐
 
寒さにも弱い人だけ 別れてからの
   からだが気になる 今朝の霜
 
さんざ泣かせて 団扇の風を
  送りや 憎らし 高鼾
 
末はたもとを 絞るとしらで
  濡れてみたさの 春の雨
 
そこは見へても あの薄氷
  とけぬ心が 憎らしい
 
それでなくとも 袂をしぼる
   降るな今宵の 秋の雨
 
船頭殺すに 刃物はいらぬ
   雨の十日も 降ればよい
 
ちらりちらりと 降る雪さえも
  積もり積もりて 深くなる
 
積もる思いに いつしか門の
  雪が隠した下駄の跡
 
遠く離れて 会いたいときは
   月が鏡に なればよい
 
ちよいと時雨に 袖ぬらされて
   暫しかり寝の 雨やどり
 
チンチンブラブラ 垂れ下がるのは
 耳に涼しい風の鈴
  
月のいやがる 雨雲はれりや
   花のきらひな 風が吹く
解いて結んだ 柳の糸を
 じらす心か 春の風
  
とめてよかった あのまま帰しゃ
  どっかで 濡れてる 通リ雨
 
ぬしの心と 今戸の畑
   かはりやすさよ 風次第
 
主の浮気と 空吹く風は
   何処のいづこで 止まるやら
 
軒に吊られた わしゃ風鈴よ
   なるも鳴らぬも 風次第
 
最初(はな)は浮気で こぎだす舟も
  風が変われば いのちがけ
 
花見戻りに 降る春雨が
  留てしぼり 二度の首尾
 
春の別れの 近づく辛さ
    散るは涙か 花の雨
 
ひとりで差したる 唐傘なれば
   片袖濡れよう 筈がない
 
富士の雪さえ とけるというに
   心ひとつが とけぬとは
 
富士の雪かや わたしが思ひ
   積るばかりで 消えはせぬ
 
踏まれても 蹴られても
   ついていきます 下駄の雪
 
もしも途中で 雨降るならば
 わしの涙と 思わんせ
 
雪の庭口 誰が踏み分けて
   二の字くずしの 下駄の跡
 
弱いようでも 心の意気地
    石さえ もたげる霜柱
 
雪がつもれば 思ひもつもる
    きみの足跡 待つほどに
 
(らい)の光で 逃げ込む蚊帳の
   中でとらるる へその下
 
我が物と 思っているのに疑い深い
 とけておくれよ 傘の雪
 
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